秋蒔きの野菜

 豆腐店の一角にトーホク種苗の種物を販売している。店におかせてほしい…と開業以来続いているのだが、このところさっぱり売れなくなった。規模的に少し大きく栽培するには全然足りなく、これらは農協を通し注文することに、僅かばかりの陳列棚では、いわば家庭菜園用でしかない。

 最近亡くなられた99歳のお婆ちゃんをはじめ、田舎では元気な高齢者が家庭菜園で頑張っておられたが、次第にそれもなくなりつつある。「私の遊園地」と称しながら、野菜つくりを楽しんでおられた方は、ほほえましくもあったし、確かに大きな生き甲斐であっただろう。

 家族が喜んでくれるだけの生き甲斐から、お寺さんやお隣さんへ…も大きな支えであったとも思う。近年、各地に直売所ができた。多くの元気なお年寄りがせっせと自慢話をしながら野菜を販売しておられるのも頼もしい、しかし、年を重ねることにその搬入に危険を覚える。いったい幾つまで運転可能なのか、収獲野菜の集積場所が自分の町内に必要になる。儲けなしに運んでくれる若い人なんて考えられない。

 直売所で高齢者が輝く・・・とは理想であっても、輝き続けられる応援団が必要になってきた。どうすればいいだろう。80過ぎても輝いていられる家庭菜園の活用に、便利社会はやはり車あってのもの。早々に妙案はない。