世界農業遺産

 環境農水常任委員会の行政視察で、大分県国東半島宇佐地域を視察してきました。見渡す限りの山の中、標高も高くなんとまぁ小さな棚田が…
正直なところ、1畝田んぼにするには3枚くらいは田んぼを集めなければならないだろう。そのような狭いだんだんの田にコンバインの刈跡が…能率なんてものじゃない。全国から1500人もの人が田植えに集まるといわれたけれど、どのようにしてこの田んぼに入るのだろう・・・・。狭い農地にしがみついて生産に励んだ農民に対して、見世物にしているようでいたたまれなかった。

 しかし、水源として各農家が小さな沼を持ち、一滴の水も無駄にすることなく、山林の恵みを存分に活用、人々が労を惜しまず自然と共生するかたちで農業を営々と続けてきた。今なお千枚田のような棚田が見渡す限り続いている地域、信じられないけれど農家の尊い精神の権化のように思う。

 滋賀県においても平成31年を目途に世界農業遺産の認定を目指している。滋賀の姿はどんなものになるか、遺産というからには、今の集落営農のような経営体による農業の姿ではなかろうと思うのだが、時代と逆行する形で物語的に残すのであれば、認定の意義は薄れると思う。盆地と湖、そして人々の暮らし…そこに果たしてきた農業の役割…これで滋賀の農業が脚光を浴びることができるかは半信半疑。