お漬物どっさり

 春3月になって、ちらほら桜の便りが届き、糸柳が淡い緑を噴き出しているのを目にする。 季節が変わりつつあることは.目の前の畑の様子でもわかる。冬野菜の後始末で、畑を掘り返しているが、丹精込めた野菜であるのに、この時期となると全て残菜、悔しいけれど掘り込むこととなる。

 おいしい所はすべて戴いてきたのだが、葬り去るにはやはりもったいない感がするのは、年寄りの根性か…。畑を掘り返しながら、白菜、大根、ニンジン、・・・持ち帰って漬物にする。白菜は陰干しをして塩昆布と塩で漬け込む。大根は短冊に切って、ビール付けに…水菜は、少し干してから塩こうじに…。いろいろ工夫はしているものの、これとて食べきることはできないだろう。

 昨秋に漬け込んだ沢庵、長期用の塩を入れておいたが、とてもおいしく出来上がった。昔の様に沢庵を食べる量は少なくなったが、それでも食事の後の仕上げには、お日様の味がとてもおいしい。自治会の役や、選挙の年などは、特別にたくさんの沢庵を必要とした。今ではお店に並んでいるものを使われることが多くなっているが、やはり変え難い各家の味だ。柿の皮、茄子の葉、昆布、大豆・・・いろいろなものが入った複雑な味は、お茶漬けにぴったり・・・

 お彼岸になれば、畑には次々と夏野菜を植えこむこととなる。今日、今冬の最後となる水菜を、塩こうじにどっさりと漬け込んで、田舎のお婆ちゃんの務めを終えた。