現役引退

 96歳、我が町内で男性の最高齢者が亡くなった。おとなしい話し方で、ずいぶんと励ましをもらった。初めて選挙に出る時も、町内の協力を得られる様、何回も頼みに行くように…と。同じ町内から出るのだから、応援できないと我々も困る…畑の作業の手を止めて声をかけてくださった。

 この方は、特攻機の整備士をやっておられたと聞く。機械にすごく達者な方で、どんな農機具もしっかりと使いこなし修理もお手の物、この冬、もう一度だけ免許更新しようと思う…と話しておられた。何しろ。90歳を超えてからパソコンを習い、国勢調査もネット申告されたほど…、たのしげにカラオケで自慢の喉を披露されていた。

 息子さんが、もう入院しているからダメだけど、現役の免許証保持者です…と。
もう、トラクターの姿も見ることはできない。奥さんを。亡くされ10年以上ひとりで暮らされてきた。息子さんも土日には必ず帰ってきておられ、今風の暮らしのお手本を示していただいたと思っている。死ぬまで現役…あっぱれな人生であったと思う。羨ましい思いでお見送り、手を合わせた。