熊蜂

 よく晴れた。風はひんやりとして、「あぁ、初夏だな…」と感じる。ブーンと重たげな羽音を立てて、熊蜂が上下する。、家の玄関前の藤棚が、満開。冬が厳しかった割には、例年のごとくに咲いて、独特の香りが、熊蜂を呼んでいるのだ。
この藤棚の思い出に、結婚記念に植えたこと、数年は少しも咲かないことに要らぬ心配(徒労でした)、派手に喧嘩して、徒労が現実に?なんてまた悩み、この家に不治あり…なんて書かれて大びっくり。母の最期にふじの房をベットに飾ったこと。家から離れた病院で、「今年も見られた・・・」と苦しい息の下で微笑んだ。近所のおじいさんが、毎年毎年楽しんで見に来てくれた。今はほとんど過去の人。お花見をした子供たちもりっぱな大人となって、藤の花どころではない。

 藤の木自体は、枝が何本も新しくなって、古い枝に巻きつき、巻きつかれた枝はそのまま枯れていく。自分で自分の首を絞めながら命をつないでいく姿は、まことに不気味だ。花が済めばうっそうとした葉の茂り、間もなくの梅雨はほんにうっとおしい。しかし、何の変哲もない切妻の我が家を、それらしく思わせてくれる藤棚が、「節電の夏」を呼びかけられる近年、大きな力を発揮しそうだ。ピカピカ黒光りの熊蜂を見ながら、確実に自然が生きつないでいる様子に我々も学ばせていただく。(どこまでも、まだまだ、もっともっとでなく、程々に生きつなげるほどの周りに合わせる繁殖力が必要)