どぼ漬け

 家の前の菜園に、茄子ときゅうりが1個づつ、「初物」だ。もうすぐに嫌というほどできるのに、お初は何ともうれしい。早速にもぎ取って、漬物にすることにした。

 いわゆるぬか漬け。田舎ではどぼ漬けという。昨年の宿を取り出し点検する。農家だから米ぬかはありもの…ぬか床の表面はしっかり固まっている。我が家では、コメ麹も中に入れてあるのでそんなに悪臭はしない。新しいぬかを混ぜ込んでお塩をパラパラ…きゅうりと茄子をそれぞれ塩でもみ込んで混ぜ合わせたぬか床に突っ込む。後は明日の朝を待つのみ…

 次第に暑くなってきた。最初だから色よくとまではいかないだろうが、朝の味噌汁にどぼ漬けはこれ絶品、昔の人の知恵はすごい。こんなにおいしい漬物、しかも発酵食品と称されて今やモテモテ、昔は市場街に行くと、漬物屋さんが桶から取り出して売っておられたが、今どき、どぼ漬け宿に手を入れるのは、おばあちゃんの仕事が定番だ。でもね。米麴が入っていると、それほど嫌な臭いはしないのですよ…。亡き母を思い出しながら漬け上がりを楽しみにしています。