双葉

 一週間前のお天気のいい日、春大根の種を蒔いた。その前の夜、雨がしっかり降っていたので、水もやらすにそのまま薄いビニールを被せておいた。
毎朝、露が一面について白く曇っているトンネルを、指でポンポン叩いていたが、今朝、しっかりと力強い双葉の緑を確認した。一日ですかっと開く…これが双葉

力強く左右に開く緑は、私に大きな力を与えてくれる。今日のお天気は頗るいい。うれしくなった。隣の畑に、私より3歳年上の奥さんが、おばあちゃん車を押して出てこられた。
スッコップを持ち出し、ひと鋤ひと鋤掘り起こされる。・・・しんどいだろうに。何植えるの?と声をかけると、「大根を少しだけ・・・」

 大根、もう生えたよ、あんたとこのぶんくらい十分にあるからね…と言ってみたけど、やっぱり自分で育てたいらしい。この気持ちが元気を生み出しているのかもしれない…。おまけに、お手間いりの春キャベツをいただいた。お返しに、水菜を少し、一人暮らしだけど、やっぱり季節のものはおいしいから・・・と車を押して帰っていかれた。空はまたどんよりと、雨が近づいたようだ。