隣りの普請

 ガガーン、重機が唸りを上げてその度に、家が崩れていく。大きな音は振動を広げて、悲鳴を上げているみたい。月初めより隣家の解体が始まった。今壊しておられる家は、建築された時を知る私としてはとても複雑。先代が頑張って建てられたもの…まだそんなに古ぼけてはいないのに…と惜しまれる。

 でも、大したことだ。孫さんに当たる当主が、都会から引っ越ししてきて家を建て替えるという。お母さんが一人暮らしをしておられて、新しい家が完成するまで、…と先日飼い猫を連れて一時引っ越ししていかれた。、完成の後には、猫と一緒にまた若夫婦や孫さんと一緒に暮らされるのだという。皆が都会都会と離れていくご時世に、子供も小さいので、越してきたときにはどうぞよろしく・・・と、愛想よくご挨拶に見えた。建つことは歓迎だが、出来るなら、解体作業はあまり見たくない。家がかわいそうで…