七草がゆ

 セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ボトケノザ・スズナ・スズシロ、これぞ七草
何ともはずみの良い七草の羅列である。私たちの娘のころ、そう、優に五十数年昔のこと、娘時代に母に教わった。寒い冷たい水屋に立って、まな板の上で七草をトントン叩きながらおかゆを炊いた。井戸水は温かかったが、おくどさんでの炊事、近所の人と同じ井戸水であったから、湯気の立つきつに雪がちらちらと吸い込まれていた。

 なつかしい・・・今も冷え切った冬の水屋が思い出される。その頃から思うと今の風情は実に寂しい。明るく温かなキッチンで、…冷え切った寒さで体がキーンとなることはない。フーフー言いながらすするおかゆのありがたみ、今の孫たちはどう感じているのだろうか。今日から3学期、登校する子供たちに校門で「おはよう…」の声かけを行った。先生は子供たちに七草粥の話をしていただいたのだろうか、ちいさなことだけど、節季ごとの習わしを、教えてほしいな・・・と思う。・ともすれば忘れられそうな現代。七草がゆを戴けたことで、ほっこり感を味わった朝であった。