地蔵堂守の交代

 私の町のお地蔵さん、1800年代後半に町内に掘られた新川の工事中、出土された…と記録にある。我々よりも少し大きめふっくらとしたお顔は誰もが手を合わせたくなる。父から聞いていた話では、集落内のやんちゃ坊主たちが、泥に汚れているからキレイキレイに…と雑巾で顔を拭いたという。すると石の地蔵さん、「いやいや」と首を横に振られたとか…度肝を抜かれたやんちゃどもは、すっかりおりこうに変わった…という。

 村の一番西にお堂が建てられまつられて、それからずっと村人によって御世話が続いてきた。私の父の代にも回ってきていたが、ほとんど父任せだった。今は、主人が本当に、びっくりするくらい熱心に毎日のお給仕に務めてくれた。お正月、春と秋の氏神様の祭り、そして地蔵盆、お花を変え、衣装を改めて新しい鈴の緒で飾る。…

 あたらしくお嫁に来られた方は、鈴の緒やお猿の飾り物等々、心ある方々が奉納されている。このお地蔵様は、お母さんのお乳がいっぱ出ますように…との祈りを込めて多くの母親が手を合わされてきた。ミルクの無かった時代には切羽詰まった祈りでおあったと思う。

 この地蔵堂守の奉仕が、いつの時代まで引き継がれていくだろうか、疑問の部分もあるが、先ずは滞りなく修められることに、お陰様と手を合わしたい。中に、思わぬ事故にあって車が全損なったにもかかわらず、怪我なく今日があることも、守っていただいた…と。それに違いないと思える。感謝しかない。ありがとうございました。